漫画レディオ

好きな漫画の感想を、好きなように紹介

『イノサン』ギャグ漫画と思ってたら全然違ったけどやっぱり実はギャグなんじゃないかと思ったすごい気になるおすすめ漫画

「井野さん」

まず、坂本眞一先生すみません。この作品を全く知らないでタイトルだけを最初は主人公の名前が井野さんでそれをもじって「イノサン」という、ギャグ漫画だと思ってました。勝手に。

しかし、表紙を見た瞬間、その壮絶に美しいイラストにショックを受けつつも、まだ、絵が恐ろしく美麗なギャグ漫画だと思っていました。

しかし、いざ読んでみると、、、
全然ギャグ漫画違うやん!圧倒的画力で超美麗に描かれたフランス歴史大作だったのです!

『イノサン』のここがおすすめ(ネタバレあり)

死刑執行人という特殊な職業

歴史、特に世界史にはかなり疎い私でも聞いたことがある、「フランス革命」「ルイ13世」「マリーアントワネット」あたりの時代です。

当時は死刑執行人がひとつの職業として確立していました。(人々には忌み嫌われています)

主人公のシャルル=アンリ ・サンソンは代々死刑執行人を務めるサンソン家の長男です。
(実在の人物らしい)

彼がムシュドパリという、花の都パリの処刑人として父親の跡を継いでいきます。

イノサン 3 (ヤングジャンプコミックス)

しかし、純真なる心(イノセント)を持つシャルルは苦しみながら処刑人としての地位を駆け登ります。

このあたりの、「家系と血筋」や「父と子の関係性」も見どころの一つです。

また、私が特に作品に引き込まれたのは死刑執行の場面

斬首刑はもちろんのこと、残虐な引き裂き刑など他の漫画でみたことのある死刑が描かれています。

どうやら、あの有名なギロチンを発明したのもシャルルらしいです。

残酷な死刑の場面も思わず見惚れてしまうその理由は、、、

とにかく、とにかく絵が美しい!

表紙で伝わるかと思いますが、とにかく圧倒的な絵に引き込まれます。

イノサン 9 (ヤングジャンプコミックス)

『モートゥルーコマンドーGUY』や『孤高の人』なとで筋肉描写の上手さが讃えられていた坂本先生が、デジタル技術を駆使して中世フランスのゴージャスで麗しい貴族衣装や建築物、を紙面にぶちまけています。

ここまで、もっと絵を見たいと思いながらページをめくる漫画は珍しいです。

坂本先生のInstagramでは作画風景がアップされるので、イノサンに惚れた方は必見です。

カリスマ マリーに惚れる

主人公シャルルは物語が進むにつれて、考え方に変化が出てきて、個人的には少し魅力を失ってきたように感じました。

しかし、途中から登場するシャルルの妹、死刑執行人のマリー=ジョセフがとんでもなく魅力的なキャラクター!
完全に途中からマリーが主人公と言えます。

実際、『イノサン』は9巻までで、続編としてマリーが主役の『イノサン Rouge』の表紙はマリーです。

イノサン Rouge ルージュ  1 (ヤングジャンプコミックス)

キャラデザインも最高にカッコいいのですが、一番カッコいいところはマリーは信念を曲げない点。
シャルルが葛藤しながらも“世の中”に馴染んで、悪く言えば日和っていく所とも相対して、よりカッコよく見えます。
ああ、マリーに斬首刑にされたい!マリーに首ったけ!!

でも結局ギャグ漫画と錯覚してしまう時も…(ネタバレ注意)

と、壮絶美麗な絵と、マリーというカリスマキャラクターに彩られた『イノサン』ですが、たまに、あれ?ギャグ漫画?と思ってしまう時があります。(ファンの人すみません)

序盤で登場する主要人物となる農民がいます。イケメンです。写実性の高い坂本イラストで描かれたかなりのイケメンです。
しかし、彼の一人称が「おれっち」だったあたりから、ん?と思っていました。

そして、ベルサイユ宮殿に舞台が進み、後半、突然、一話まるまるミュージカルになる時がきます。

一話まるまる、歌と踊り?です。漫画なのに。

ポカーンでした。それが、一話だけならまだしも、何度かありました。

そのあたりをどう捉えるか、で作品の見方が変わりますかね。

私は圧倒的な画力のおかげでついていけました!

まとめのひとこと

どんな展開でも引っ張っていってくれる画力を堪能!イノサンは人名じゃないよ!